ヒデ坊君のこと。
2006 / 04 / 17 ( Mon )

手帳の中を整理してたら小さくたたんだメモが出て来た
「ゆうこちゃんが からあげを つくってくれました」
汚い字のメモに思わずふっと顔がゆるんだ
ずっと前にヒデ坊君が書いた、帰りが遅いお母さんへの置き手紙
ああ、久しぶりにヒデ坊君とご飯食べに行こう と思った
ヒデ坊君こと、ヒデオ君はもう28歳だけど、たぶん知能は6歳位
福祉作業所とパン屋で働きながら月収はせいぜい3万あるかないか
誰にでも分け隔てなく優しくて
すっとぼけた発言と明るさで場を和ませる不思議な力を持っていて
どこへ行っても人気者
私は昔からそれを羨ましいと思っていた
多分嫉妬していた
いなくなればいいのにという思いがよぎったこともあった
私の心の中にいる鬼を見た
なのにヒデ坊君は「ゆうこちゃんはやさしいね」「かわいいね」とか言うのだ
泣いた
私がたまにどっか連れてってあげたり、ごちそうしてあげると言うとすごく喜んで
ずっとそのことばかり話したりする
うるさいからギリギリまで言わないことにしている
今日、ヒデ坊君を迎えに行って、一緒に洋食屋さんでお昼を食べた
おいしいね と言いながら
かみ合ってるのかいないのかよくわからない会話をしながら
お互いマイペースなゆるやかなランチタイム
その後、福祉作業所まで、様子見るついでに一緒に歩いた
ドアを開けるなり「僕の妹ですよ!」と紹介し興奮したまま奥へ行ってしまった
職員の人が「今日は妹さんがご馳走してくれるんだ、ってすごく楽しみにしてたんですよ」
と教えてくれた
昔からよく、私が姉に間違われては切なくなっていたこと
かっこいい普通のお兄さんだったらよかったのにと思ったこと
友達と兄弟の話になるのが怖かったこと
でもやっぱり私にはこの兄しかありえないのだ、と思う
ヒデ坊君が見せてくれたちょっと変わった色んな世界、繋げてくれた色んな人
私のアイデンティティと根底に流れるリズムはほとんど彼譲りであると思う
私が実家を出て横浜暮らしを始めてからはしょっちゅう「ゆうこちゃんはいつ帰ってくるの」と言っているそうだ
少し切なくなる
また何かごちそうしてあげよう、どっか美術館にも連れてってあげよう
と、中央線から夕暮れの街を眺めながら思った
(photo:アルパカちゃんとガーベラ@my room)
ゆうげ。
2006 / 04 / 04 ( Tue )

夕暮れの神様階段をひとり駆け下りる
途中で立ち止まって
眼下に広がる夕陽に照らされた街の風景に
どうしようもなく胸がきゅうとなる
それぞれの屋根の下の風景
夕飯の支度の風景 を想う
トントンと野菜を切る おと
なにかをコトコト煮込む おと
おしょうゆの におい
ゆうげ ということばを思い出す
あまり使うことはないけれど
優しくて柔らかくて美味しそうな時間だと思う
ゆうげの支度 は
やっぱりお味噌汁とごはんが基本かな
みんなで湯気の立つ夕飯を囲む
あったかい時間
だけどそんな風景がどれだけ本当にあるだろう
そんなことも考えてしまって
またきゅうとなる
こどもはおうちに帰りましょ
カラスと一緒に帰りましょ
(photo:ハルヨおばちゃんち@串本)
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